借金が原因で離婚…相手の借金って負担しないといけないの?
夫や妻に借金があった時、相手のことが信用できなくなって離婚を考えるケースは少なくありません。実際、女性の離婚経験者の28.4%が、相手の借金が原因 だとするデータもあります。
参照:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ブライダル総研「離婚に関する調査2016」より
しかし、いざ離婚するときに注意しなければいけないのは、借金の清算がどうなるかという点です。夫婦であったことで返済義務が生じてしまうのかどうかは、ケースによって異なります。
自分が返済すべき借金・返済しなくても良い借金にはどのようなものがあるのか、借金を理由に離婚をするためにはどのような手段があるのか、徹底解説していきます。
金銭問題は離婚原因の中でも上位
大切なパートナーだからこそ、借金が発覚した時に裏切られた気持ちになるのも仕方ありません。相手に対して不信感を抱き、もう離婚したいと考えてしまうこともあるでしょう。
結論から言えば、借金を理由に離婚をすることはできます。
離婚の理由としては、生活費を渡さない、浪費など、金銭問題が理由となっている離婚は決して珍しくないからです。
借金を原因に離婚するための方法3つ
離婚をする際、一方的な意志だけでは成立させることができません。基本的には双方の合意が必要であり、お互いが納得しない場合は裁判になるケースもあります。
では、実際に離婚をする際にはどうすれば良いのか、3つの方法をご紹介します。
- 1.協議離婚
- 夫婦双方の合意によって成立させる方法で、もっとも一般的な方法です。
話し合いの後、離婚届提出するだけで離婚が成立します。
- 2.調停離婚
- 夫婦2人の話し合いだけで合意できない場合は、家庭裁判所に申し立てて調停委員を介する方法を取ります。
第三者が関わる離婚方法ですが、基本的には夫婦で話し合いがまとまれば離婚が成立します。調停に出席しなければいけないデメリットがあります。
- 3.裁判離婚
- 離婚訴訟を提起し、裁判によって決定する方法です。
明確な離婚理由があることが問われるため、ただ借金を原因とするだけでは離婚が認められない可能性もあります。
【婚姻を継続しがたい重大な事由】であることを立証しなければいけません。
この他、ほとんど活用されることはありませんが、審判離婚という方法もあります。
審判離婚は、双方が離婚に同意しているにも関わらず、細かい点の合意が得られていないなど調停離婚が不成立の場合に、家庭裁判所の判断で離婚審判を下すことが出来る制度です。
利用率が低いのは、双方の離婚合意がある時点で調停が不成立となるケースが少ないためです。
ただ、裁判離婚の1つ前の段階として、このような方法があるということをも頭に入れておくと良いでしょう。
気になる離婚費用をチェック
調停や裁判になると、当然何らかの費用が発生します。ここでは、それぞれの離婚方法でいくら必要となるのかをご紹介します。
離婚方法 | かかる費用 |
---|---|
協議離婚 | 協議費用…特にない 弁護士費用…約30万円以下 |
調停離婚 | 調停費用…約2,000円 弁護士費用…約40万円~70万円 |
審判離婚 | 審判費用…約2,000円 弁護士費用…約40万円~70万円 |
裁判離婚 | 裁判費用…約19,000円 弁護士費用…約70万円~110万円 |
弁護士費用も掲載していますが、弁護士に依頼せずに離婚することはできます。
借金清算を左右するポイントはお金を借りた目的
離婚時には、財産分与と言って夫婦として築いてきた共有の財産を分け合わなければいけません。
預貯金はもちろん、マイホームや車などについても、財産分与の対象です。
もちろん、すべての借金を夫婦2人で分担しなければいけないと言うことではありません。配偶者にも返済義務があるかないか、それはお金を借りた目的によって決まります。
財産分与となり返済義務を負う借金、返済しなくても良い借金について見ていきましょう。
借金項目・目的 | 財産分与対象(配偶者の返済義務の有無) |
---|---|
ギャンブルや娯楽 | なし |
自身の時計や服 | なし |
生活費 (食費や光熱費) |
あり |
医療費や教育費 | あり |
家具家電の購入費 | あり |
住宅ローン | あり |
ただし、借金の保証人になっている場合は、借金の返済義務が生じます。離婚したとしても保証人の契約が解消されることはありませんので、注意しましょう。
双方に責任がある場合の借入金清算方法
生活費や家具・家電の購入費など、生活をしていく上で借入をした分についての清算方法をご紹介します。
基本的には、【財産分与の対象となるプラス財産】から【借金額のマイナス財産】を引き、その残額を財産分与として清算します。
このとき、マイナス財産の方が多いのであれば、夫婦で返済・分与についての話し合いを行う必要があります。
住宅ローンの清算方法
離婚時の借金清算で、もっとも大きな金額になると考えられるのが住宅ローンです。
また、住宅ローン契約者ではない側が住宅ローンを返済していく際は、住宅ローン契約変更をして実態を合わせるようにしたいですね。
住宅所有者・住宅ローン返済者については、非常に重要な取り決めとなります。決めた内容について、きちんと公正証書に残しておきましょう。
離婚したら養育費はどうなる?
離婚をしても、自分の子どもを養い育てる義務は変わりません。親権を自分が持つことが決まった場合、配偶者に対して養育費を請求することができます。
ただ、借金返済に追われている相手に対して養育費を請求しても、支払われなくなってしまうケースが多いのが実情です。
養育費は、裁判所の命令によって給料差し押さえといった強制執行も可能ではあります。
離婚する際には、養育費の取り決めについて公正証書に残し、支払われなくなった際に給与差し押さえが可能となる【強制執行認諾条項】について記載するようにしておきましょう。
離婚後に注意したい相続問題
離婚をすれば、夫婦関係ではなくなるので双方の身に万が一のことが起こっても、相続は無関係です。
しかし、離婚をしても子供には相続権があります。
相続はプラスの資産だけでなく、借金などの負の資産についても対象となるため、借金を相続しないためには相続放棄手続きを行います。
相続放棄手続きは、亡くなってから3カ月以内に行う必要があるので、しっかり覚えておきましょう。
一般的に借金原因の離婚では慰謝料はもらえない
離婚時には慰謝料が発生するイメージがある方も少なくないかもしれませんが、実際は少し違います。
離婚の際の慰謝料は、一般的に配偶者に対して不法行為を行いその責任が明らかな場合に請求が可能です。
(離婚自体慰謝料といって、離婚をさせられてしまうこと自体への精神的苦痛を訴えることで発生するものもあります)
性格の不一致や価値観の違いといった、離婚原因で最も多いケースについては慰謝料を請求することができません。
では、借金はどうでしょうか。
ギャンブルなどによる浪費により精神的苦痛を受けた場合は、慰謝料請求は可能ですが、細かい借金額などの証拠などで苦痛を受けたことを証明する必要があります。
ただ、配偶者の方が慰謝料を支払う意志を示した場合は、それを受け取ることは可能です。
しかし、借金で返済に追われている状況であれば、慰謝料請求は現実的に厳しいと言えます。
自己破産となって免責が認められた場合、基本的に慰謝料請求はできません。
生活のための借金の場合、離婚しても双方に返済義務アリ!
配偶者の借金が原因で離婚をすることは、可能です。ただし、2人の生活のための借金であれば、財産分与の対象となるため離婚後も双方に返済義務が生じます。
一方で、ギャンブルや娯楽といった自分自身のための借金については、夫婦であっても返済義務はありません。
生活のための借入金清算は、夫婦のプラス資産で行うことになります。ローン残高が残る際にはその返済方法について夫婦で協議しなければいけません。
離婚相手の借金を払いたくないなら債務整理で解決がおすすめ!
離婚相手の借金トラブルを自分が負いたくないなら、債務整理を検討することも選択肢に入れておきましょう。専門家への相談が近道です!
任意整理や個人再生、自己破産などの方法がありますが、手続きを進めれば離婚相手の借金トラブルを根本から解決することができます。
離婚と借金というWの問題が起こっているので、やはり専門家にお願いするのが一番。離婚問題と借金問題の両方に強い弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
自分たちでは導き出せなかった解決方法をきっと一緒に考えてくれますよ。